« 東病院編:転院 | トップページ | 東病院編:リハビリ2 »

2017年1月23日 (月)

東病院編:リハビリ1

一日の始まり

お早うございます。灯りを点けます。」
看護師の声がする。午前6時、起床時刻だ。しかしボクはすでに目が覚めていた。
環境の急激な変化で熟睡できず何度かトイレに起きた。
まだ自力で歩くことができない。その度にナースコールを押し車椅子を押してもらった。
寝付けないベッドの中で考えるのはあれやこれやの取りとめのない<良いことばかりではない>想像ばかりだった。

しかしカーテンが開き部屋が明るくなれば気持も明るくなる(ような気がする)。
目の前、介護机の縁に昨日の夕方配られた今日の予定が貼ってある。
やることがはっきりしていれば活力も湧いてくる。目の前の今できることに力を尽くすだけだ。
どうにかなるさ。今の頑張りはきっと報いられる。
…妻にいわせればこんな根拠のない「楽天性」がボクの取り柄なのかもしれない。

01
              予定表(9/2)

さて今日のリハビリ予定表。…この予定表は前日の夕方、夕食の前頃に配られる。
明日の予定が前日に分かるのは明日の計画が立てやすくありがたい。
(入院患者として病室で寝ている=療養する=ことが仕事だからヒマだろうと言われそうだけど
 決してそうではない。頭や体の機能を維持していくために、やりたいことがヤマほどあるのだ。
 なによりも、次=未来=を考えることができることは今を生きていることの何よりもの証拠ではないか!)

「食事に行きましょう」
介護師(介護助士?)が迎えにきた。
転院のためにレンタルした車椅子は昨日返してしまったから、今使っているのは東病院西病棟のボク専用の車椅子だ。
回復期リハビリ専門の東病院は患者の状態に合わせた介護用品の種類も数も豊富だ。
このときボクが借りていたのは自走用車椅子。
もちろん足こぎ式や介助用車椅子、簡易ストレッチャーにもなるリクライニング式車椅子もある。
こうした車椅子や歩行器がベッドの脇や病室入口の廊下に並んでいる。

02
            廊下に並ぶ車椅子

患者さんはこうした自分のために用意されている移動手段を使って病院内を移動しているのだ。
何回か車椅子を押してもらっているうちにボクも自分でハンドリムを操作して
行きたいところへ自由に行けるようになっていった。

食堂に入る。
テーブルに着いたことが確認されると介護師が朝食を乗せたトレイが運んできてくれる。
カードに、エネルギー1520kcal(19単位)と書かれていた。これは一日の総摂取量を表わす。
以下に9月2日(金)の朝食、昼食、夕食を記す。おいしいけれど量的にボクには物足りなく感じた。 

03
               朝食…
無塩ロールパン90g、目玉焼き、サラダ(ノンオイルドドレッシングサウザン)、ミルク

04
               昼食…
ご飯150g、鶏肉の生姜焼き、茄子の磯部和え、果物(バナナ)

05
               夕食…
ご飯150g、サワラのムニエル(75g)、野菜の洋風煮、春雨サラダ

朝の食事が終わり薬の確認待ちをしていた時、Fuk.Drの回診があった。
担当する患者にニコニコと話しかけながらボクのところにも近づいてきた。
・メニュー表の19単位とは1単位80kcalだから80kcal×19kcal=1520kcalになること。
 適正calは体重1kgあたり25kcal。ボク場合およそ1500kcalが安静時必要摂取量になること。
・しばらくの間一日4回血液採取・検査を行い血糖値の推移を診ていくこと。
 食事の量も経過を診ながら決めていくこと。
・この病院は手・足・言葉のリハビリが専門であり歩行や日常活動・言葉のリハビリに力を入れていくこと。
・KMCで主治医だったO.Drとも連絡がよく取りあえていること。
 O.Drからの画像診断も参考に「左方向の見え方」についての改善方向も検討していくこと。

…こんな、ボクの症状に対応した話題ばかりではなく、
・KMCは廊下に絵画が展示してあるなどすばらしい病院だ。
 ここ(東病院)は廊下などのスペースがゆったりしているし、
 本院は教育機関という性格を持つなど、それぞれが特徴のある病院になっている。
・同じ質の病院ということより特徴のある病院を目ざしている。
…など、気さくに話してくれた。
話し方が柔らかくて説明も分かりやすかった。

Fuk.Drは朝食時には必ず回診し、たまたま食事が終わって部屋に戻っている時には
わざわざベッド際まで来て体調を確かめたり治療(療養)方針を伝えたりしてくれた。
ヤッと手を上げて挨拶する仕草やフレンドリーな話し方は、医師であり副院長であり大学教授であり…
という厳めしさより、どこか身近にある幼稚園の園長さんのような印象ですごく親しみを感じた。


リハビリ

OT

リハビリの時間が近づくと看護師(介護師)が迎えに来る。「行きましょうか?」…と。
けれどボクはできるだけ時間前にリハビリ室の前に行き入口で待つようにした。
同じように順番を待つ他の患者さんとの会話も楽しみだったから。

さて今日(09/02)は10時50分からOT(手=食事・入浴・炊事・掃除など日常活動=の動作練習)の予定。
予定よりずっと早い9時50分ころ、OT担当のSak先生が部屋に来て
「今日はこの病院での入浴の仕方について練習しますね」との話もあった。

時間になり先生が迎えに来て車椅子を押してくれた。車椅子の乗り降りも観察・評価の対象なのだ。
浴室は廊下を挟んで斜め前すぐ。浴室に入る前に入浴のルールや脱衣室・浴室の使い方などの説明があった。
・浴室は3ヵ所。2つは一般浴室、もう1つは機械浴室で介助が必要な患者さんのためのものであること。
・付き添い(介助)が必要な場合の入浴は原則として2回/週であること。
・付き添い(介助)→見守り→自力というステップの中で基本動作が可能なボクは「見守り」であること。
・浴室での動きを観察・評価しながら、いずれは「自力」へとステップアップしていくこと。
・自力にステップアップするとリハビリの時間外なら自分の都合の良い時間に予約し自由に入浴できること。

06
              浴室

①衣服の着脱など脱衣室で準備をする
②手すりにつかまりながら浴室に入る。
③浴槽に湯を入れる。
④浴槽がいっぱいになる間に身体を洗う。
⑤-1浴室の手すりにつかまって立ち上がり湯船脇の座面(平らな縁)に腰を下ろす。
⑤-2湯船側の足から浴槽に入れ、座ったまま腰を回転させてもう一方の足も入れる。
⑤-3浴槽の手すりにつかまりながら足を片方ずつ伸ばす。
…湯船につかるまでの手順はざっとこんな感じ。
次に入浴する人のために、出る時は栓を開いて湯を抜く。シャワーで浴室全体を洗い流す。

暖かな湯に肩まで入れると体だけでなく気落ちまでほぐれるよう…。
時間も最大で45分/人とたっぷりある。
それにしても一人ひとりが入浴する度に湯を全部入れ替えるなんてなんと贅沢な!

話をしているうちに、OTのSak先生は山が好きな女性だと分かった。近いうちに北八ヶ岳に行くと言う。
今日の浴室担当だったDo先生も山が好き。お子さんが大きくなったら一緒に登るのが楽しみと言う。
この病院には山歩きの好きな人が多く、中でもOT担当の先生方の中には山歩きグループもあるとか。
入浴のステップアップも、OTのリハビリ時間も楽しみだが、これに山の話ができるという楽しみが加わった。


ST

言語聴覚室は3階と1階にある。特に指示がなければ通常は3階にある防音されている小部屋で行われる。
担当はYuk先生。話の聴き方や話題の引き出し方がとても上手で学校の先生みたいな雰囲気の女性。
リハビリを受けながら「こんなふうに話を引き出せば…」と、現職時代のボク自身を反省することしきり。

さてリハビリは昨日もあった。
昨日は主に
・呼気の長さ、唇や口腔の動きなどの検査
・発声練習 などを行った。

今日も昨日の続きでまず現状把握というところか。
・鼻の下に鏡を置き「あ~」とできるだけ長く発声する。鼻からの息もれがあると鏡が曇るのだ。
・発声練習(このブログを読んでいる皆さんも試してみませんか?)
 唇を使って「パパパ…」、舌の奥を使って「カカカ…」、舌の中央を使って「タタタ…」
 繰り返す「パタカ、パタカ、パタカ…」 
・呼気を細かく切って発声「ハハハ…」「ヒヒヒ…」「フフフ…」「ヘヘヘ…」「ホホホ…」など
 特にヘヘヘ…は言いにくく途中で息が切れそうになる。
 その他の応用<例>「アハアハアハ…」「イヒイヒイヒ…」など
・発声:有声音は声帯を振動させて発声。無声音は声帯を振動させずに発声。
 のどに軽く指を当てて振動があれば有声音、なければ無声音。
・構音:声帯から出た音を喉や舌・唇などあらゆる器官を使って「話し言葉」を作る
 「さ」行のように舌と歯の間を呼気が通過することで発声する摩擦音
 「ぱ」行のように閉じた唇から一気に呼気を通過させて発声する破裂音
 「は」行は「あ」行と口の形が同じで舌も唇も使わずに呼気を区切って発声。など
・外国語はtaskのように子音だけでも発音する言葉が多い、
 日本語はka-、ki-、ku-、ke-、ko-のように子音を伸ばすと母音になる。
 したがって日本語は言葉の一音一音をやや伸ばすように発音すると聞き取りやすい。 
 <例1>雲がきれいに見えます。
   (く-も-が-、き-れ-い-に-、み-え-ま-す)
     ku-mo-ga-、ki-re-i-ni-、mi-e-ma-su
 <例2>栄養が多い。
   (え-よ-が-、お-い)
     e-yo-ga-、o-i。
・言葉の練習(短文音読例)
 「青い家を買う」(ア行)
 「すがすがしい草原の朝にセミが鳴く」(サ行)
 「花屋で百合を4本買った(ヤ行)
 「臨時列車が六番線から発車する」(ラ行)など
・やや長い文の音読(例)
 「北風と太陽」など

発声や発音練習を始める前に眼のトレーニングも必ず行われた。
・左右、上下、斜めにある指先を顔を動かさずに眼だけで見る。それぞれの方向を各5往復
・先生が左右、上下、斜めに動かすペンの先を眼で追う。
・一点を見つめながら首を大きく回す。左回り・右回り各2回

歩行やバランスはもちろん、発声も構音も眼の動きも小脳がコントロールしている。
ふらつく・めまいがする、ろれつが回らない、二重に見えるという症状の原因は
小脳のコントロールがうまく機能していないということだ。 
こんなふうに「できて当たり前」のことを、今まで日常生活の中で意識したことなんてなかった。
言葉の成り立ちって面白い。心の動きって面白い。知らなかったことを知るって面白い!

眼のトレーニングや言葉のリハビリに加えて自由会話の時間も楽しかった。
話を最後まできちんと聞いてもらえることが何よりもの励みになった。
こうしてSTも待ち遠しい時間の一つになった。


PT

トレーニングのための部屋は3階と1階にある。通常は病室のある階と同じ3階の部屋で行う。
学校の教室が三つ分くらいの広さの手前にOT用の机や椅子、用具の入った棚があり、
奥にPT用のトレーニングベッドや器具・用具がある。

ボクの担当はMih先生。背がすごく高い先生で一緒に歩くとまさに「見守られて」いる感じがする。
ボクはMih先生が声を荒げたり大声を出したりする姿を見たことがない。
何のための運動か丁寧に説明してくれるし、少しの前進でも認めてくれるので「やる気」が出る。

さて1回目の今日(9/2)は脚のマッサージから始まった。
普段使わない筋肉を曲げる・伸ばす・擦る・もみほぐすことで体中の血液の流れが良くなる気がする。
緊張感が和らぎこれから始まる運動(トレーニング)へのパフォーマンスも上がるような気がする。

マッサージの後、歩行やバランスに関するいくつかの検査が行われた。
①両足を肩幅に開いて立ち、静止する。
②かかと・つま先をそろえて立ち、静止する。
③綱渡りをするように一方のつま先をもう一方のかかとに付けて立ち、静止する。(継ぎ足)
④片足で立ち、静止する。
⑤平行棒につかまり、足を使ってボールをパスする。
⑥やはり平行棒につかまり、足の裏に置いたボールを回す。(右回り、左回り)
⑦キャスター付き歩行器を利用した歩行練習
…など。

①②は1分以上できた。⑤⑥のボールの扱いも普通にできた。
③の継ぎ足は7~8秒で、④の片足立ちは1~2秒しかできなかった。
最後に血圧と脈拍の測定があった。呼吸も脈拍も乱れることはなく血圧も正常範囲内だった。

ボクの場合筋肉の力はあってもバランスを保つ能力に課題があるようだ。歩行は片足立ちの連続である。
安定して歩くためにバランス能力を高めていくことがこれからのトレーニングの中心になるのだろう。
15時20分から始まったトレーニングは16時までみっちり行われた。充実した時間だったと思う。
今日の評価が次に進む出発点となる。リハビリを通してどう伸びていくかが楽しみとなった。
明日からの本格的なリハビリがますます楽しみになってきた。

« 東病院編:転院 | トップページ | 東病院編:リハビリ2 »

入院記」カテゴリの記事

コメント

コメントを書く

(ウェブ上には掲載しません)

トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.cocolog-nifty.com/t/trackback/559408/64799762

この記事へのトラックバック一覧です: 東病院編:リハビリ1:

« 東病院編:転院 | トップページ | 東病院編:リハビリ2 »

2017年6月
        1 2 3
4 5 6 7 8 9 10
11 12 13 14 15 16 17
18 19 20 21 22 23 24
25 26 27 28 29 30  
無料ブログはココログ