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2017年3月29日 (水)

東病院編:退院

<一時帰宅に向けて>

9月上旬東病院に転院して来たときは介護タクシー・車椅子による移動だったボクが、
10月中旬には病棟内だったらキャスター付き歩行器利用でフリーになっていた。
一時的に家に帰り、家での活動も試したい。…そんな希望も出せるようになっていた。

10月12日(水)
主治医のFuk.Drから一時帰宅についての話があった。
・昨日担当者が集まり、s-okさんの容態について情報交換をしました。
 リハビリに対する先生方の評価がとても高く、一時帰宅はもちろん許可します。
・ただし病院からご自宅までは4kmもあり、歩けばおよそ1時間もかかります。
 長距離歩行の前例がないため、自家用車orタクシーorバスを利用することが条件です。
 (車を持っていないボクは「歩いて帰宅すること」を希望していた)
・しかしいつまでもここ(病院)にいてもらうようなことは考えていません。
・リハビリの経過や帰宅した時の様子、24日に予定されている眼科の受診結果…を基に
 25日にカンファレンスを開き、11月上旬には退院できる方向で検討します。

一時帰宅や退院に向けてシルバーカーや杖(3点支持の一本杖)歩行の訓練も加わった。
外歩きや階段の昇り降りなど「日常生活」を支障なく送れるようなリハビリも行われた。

・エスカレータの乗り降り
 流れに合わせて左手をベルトに置き、右足から一歩ステップに踏み出す。両足をそろえて立つ。
 降りる時も右足から。流れに合わせて前に進む。

・階段の昇り降り
 昇りは強い足(利き足)から、下りは弱い足(利き足でない脚)から降り始める。
 (※筋力の強い脚で体重を支える)
 昇りは手すりにつかまりながらトントンと交互に昇る(一足一段)ことも可。
 下りは手すりにつかまりながら一段ずつ足をそろえて(二足一段)降りる。
 昇りも段差が大きい場合は二足一段の方が安全。
※杖を先についてバランスをる。
エスカレーターも階段も、接地面と目線の距離が離れる分下りの方が怖く感じる。
繰り返し練習して慣れるしかないのだけれど。

Photo

本院と結ぶシャトルバスを利用して、路線バスに乗り降りするための練習も行った。
(シャトルバスは20分おきに出ている。埼玉のKMCに向かうバスもある=職員専用)
・ステップの乗り降り⇒バスが完全に止まってから、手すりにつかまり杖を利用して降りる。
・乗る時は強い足から、下るときは弱い足から⇒階段と同じ。
・本院は人の往来が多い。人ごみの中で急に立ち止まったり振り返ったり方向を変えたりしない。

一時帰宅や人ごみの中の杖歩行、バスの乗り降りなど、希望していたことを全て受け入れてもらえた。
不安に思っていたこと、疑問に思っていたことにきちんと対応してもらえたことでリハビリへの
モチベーションを一層高めることができた。


<一時帰宅>

10月15日(土)
昼食のあと病院を出て、シルバーカー(※)と介護杖(3点支持)を利用しながらバス停に向かった。
(※買い物カゴ付き折り畳みシルバーカー)
一番混んでいないと思われる時間帯を選んだのだけれど、車内は思いのほか乗客が多かった。
途中学生の団体が乗り車内はいっそう混んできた。道路も渋滞し大野駅には30分以上遅れて着いた。
「歩いたほうが速い!」
妻がつぶやいた。渋滞によるノロノロ運転にイライラしていたボクもそう思った。

家に帰る途中スーパーに寄り食材を買った。
65日ぶりの我が家。「老前整理」を始めたばかりのボクの部屋は散らかったまま。
机のパソコンを立ち上げセキュリティソフトを最新版に更新した。
久しぶりに触れるPC、画面に目の焦点が合わずマウスのクリックを何度も間違えた。
ようやく「安全です」メッセージを確認し、メールチェックと不要メールの削除など
一通りのPC作業が終わった時もう17時を過ぎていた。

夕飯の支度。夕食のメニューは病院にいる時から考えてある。
ぶりの照り焼きは妻が作った。肉じゃがはボクが作った。
調理実習の時のような間違いはもうしない。
「おいしくできたね!」
いつもは辛口の妻がちゃんと評価してくれた。

夕食の片づけが終わった後部屋に戻り、HPの掲示板に書きこんだ。
「ありがとう! リハビリ頑張ります!!」の気持ちを込めて…。

10月16日(月)
ホッとする我が家。けれどあれこれの思いが次々と浮かんで寝付けなかった。
0時、2時、5時と目が覚め、明るくなり始める5時40分にはすっかり目が覚めていた。
6時に起きて湯を沸かしポテトサラダを作った。
7時朝食。
玄米フレークに牛乳、ポテトサラダ、小型パン、紅茶、デザートにキウイ。
ボクには十分満足できる食事。

朝食後、持ち帰った洗濯物をすませてPCを立ち上げて "独り言"を更新した。
昨夜より20近くカウントがアップしていた。
更新していないのに見てくれる人のいることを嬉しく思った。

家に帰ったらやりたいと思っていたこと。料理を作る、洗濯をする、PCを更新する…。
望んでいた作業が一通り終わった時、もう10時を過ぎていた。
道路の渋滞を避け今日は歩いて病院に戻ろう…。夕べから決めていた。
10時35分、家を出た。緑道に入りシルバーカーを押しながらゆっくり歩いた。
11時10分、大沼トンネル先のベンチで休憩。5分間休んで11時15分出発。
木もれびの森(麻溝台地区)を抜けて東病院に着いた時11時35分だった。

そのまま3階の談話室に上がり崎陽軒のシュウマイ弁当を広げた。
歩いた後のちょっと贅沢な弁当。おいしくて量的にも満足できる食事だった。
ナースセンターに「ただいま!」と声をかけた時12時45分。
部屋(病室)に入って帰宅モードから病院モードに切り替えた。
少し眠りたかったが荷物の整理が終わる頃13時50分。午後のリハビリが始まる時刻だった。


<退院に向けて>

9月上旬、転院したばかりの頃には葉を青々と茂らせていた桜の並木道も
10月も後半に入ると茶色に色づき、葉を落とし始める樹さえ見られるようになった。

20161024



10月23日(日)
14時57分から2単位続き(120分)で行われたOT。
外歩きが終わって館内に入る前、シャトルバス・バス停ベンチ。
担当のSak先生が言った。
「(2時間続きで)疲れたでしょう。少し休んでから戻りましょうか」

風が少し冷たく感じたが青い空に刷毛で掃いたような巻雲が見えた。
耳を澄ますと虫の声が聞こえた。
虫の名は分からないけれど自然に童謡が浮かんできた。

♪あれマツムシが鳴いている
 チンチロチンチロチンチロリン
 あれスズムシも鳴きだして
 リンリンリンリンリインリン
 秋の夜長を鳴き通す
 ああ面白い虫の声…♪

気がつけば二人で小さく口ずさんでいるのだった。
口ずさみながら「夏から秋へ」という季節の変化を感じた。
単調になりがちな入院生活の中で「虫の声を聞きましょう」という気配りが嬉しかった。

10月27日(木)
9寺少し過ぎ、食堂にいるボクを見つけたソーシャルワーカーのSuzさんが声をかけてきた。
「今日、これからケマネージャーさんとの面接があります。
 受け入れるかどうかは、お会いしてお話をしてから決めて下さい。」
2~3日前に担当看護師のIziさんに
『退院した後の医療やリハビリはどうなるのか』相談していたのだ。

紹介されたケアマネージャーのNukさんは、話をしっかり聞いてくれる物静かな印象の男性だった。
そのままリハビリの様子(OT)と、「退院に向けての説明会」にも立ち会ってもらうことにした。

11時からの説明会は少し遅れて始まった。
主治医であるFuk.Drから、入院の経過やリハビリの様子・評価などの説明があった。
退院後のケアについて、
内科は家の近くにあり以前通院していたS.S病院のAw.Drへ
外科は手術執刀医で主治医でもあるK大学病院のOk.Drへ
それぞれ紹介状を書いてくれるとのことだった。
説明はとても詳しくていねいで充分納得できる内容だった。

Nukさんにはその後の昼食の様子も見てもらった。
静かに見守ってくれる姿や話をきちんと聞いてくれる姿に好感が持てた。
妻も納得したようでこのまま退院後のケアマネ―ジャーとしてお願いすることにした。

10月30日(日)
15時10分からのPT。幾つかの検査の後、担当のMih先生から説明を聞いた。
          9月上旬(転院したばかりの頃)   10月下旬(退院する前日)
 歩く速さ    13.2秒(歩行器利用)        7.0秒(杖利用)
                               5.9秒(杖利用・速歩き)
 カラーコーン
 回り       19.2秒(歩行器利用)        10.1秒(杖利用)
 継ぎ足     11.5秒(右前)              44.1秒(右前)
          16.4秒(左前)               60.0秒超(左前)
 片足立ち     9.6秒(右足)                8.4秒(右足)
           5.7秒(左足)                 9.6秒(左足)

退院した後の自主トレーニングとして次のようなメモももらい実際にやってみた。
【自主トレーニング(目安:20回1セット)】
 ・片脚ブリッジ=尻や腿の筋肉を鍛える
 ・仰向け片脚上げ(反対側の膝を立てる)=股関節や腹筋
 ・四つ這い対側拳挙=体幹や股関節、バランス
 ・脚開き(椅子の背もたれ等に捕まる)=太ももの外側
 ・踵上げ(椅子の背もたれ等に捕まる)=ふくらはぎ
 ・スクワット(椅子の背もたれ等に捕まる)=ももの前後

2か月間のリハビリを通して、片足立ち(バランス)の他は明らかに成績が伸びている。
体幹を始め筋力はきちんとついているのだ。
何よりも家でできるメニューまで用意してもらえたことがとても嬉しかった。
このメニューは、退院後にトレーニングマットを買い外歩きのできない日に行うようにしている。
(晴れている日はできるだけ外を歩くようにしている)


<退院>

10月31日(月)
6時10分
「朝焼けがきれい!」という看護師の声で目が覚めた。
南北方向に長い病棟の廊下、南側突き当たりのガラス戸から明るい陽が差しこんでいた。
少しぐづついていた天気も、退院するこの日は清々しい朝の光に満ち満ちていた。

20161031


朝食が終わり荷物の整理もつけて休んでいる時、OT担当のSak先生が挨拶に来てくれた。
「退院おめでとう。良い天気で(退院に)ふさわしい日ですね。」
「ありがとうございます! お元気で!!」
二か月間お世話になり、リハビリを通してここまで回復してきた。感謝の気落ちを込めて握手した。
「本院を受診するときはここにも寄って下さいね。」
お世話していただいたたくさんの先生方や看護師さんの顔が浮かんだ。山や自然の話も楽しかった。
こちらに来る機会があれば、ボクも必ずそうしようと思う。

10時30分:
迎えに来た妻と病室を出た。廊下を通る時、知り合った患者さんから
「おめでとうございます!」と祝福された。けれど…
「お元気でね。さみしくなるけれど…。」とか「(病院内で話のできる)一番の友だちでした。」
とか言われてがっちり握手を求められたとき、「〇〇さんもきっと良くなりますから…。」
応えながら心の中は少し切なかった。

11時10分:
K大学東病院の玄関を出た。そのまま相模緑道を歩いて家に向かった。

12時15分:
家に着いた。久しぶりに入るボクの部屋のカレンダーは8月のままだった。
再(々)手術のためにKMC(埼玉県)に入院したボクは手術を受けた後、そのままK大学東病院に転院したのだ。
61日ぶりの我が家。少し散らかったままの机さえ懐かしかった。

15時00分:
担当のケアマネージャーNukさんと介護用品業者のFurさんと面談、歩行器をレンタル。
持ってきてもらったいくつかの見本の中から一番安定している歩行器を選んだ。
退院後のリハビリは、幾つかの事業所を実際に見学して決めることにした。

16時30分:
レンタルした歩行器を使い、さっそく大野駅近くのスーパーへ買い物に出かけた。
シルバーカーと違って後輪の車軸が無いため、背筋を伸ばし歩幅を広くして歩くことができた。

17時30分:
夕飯の支度を始める。妻に教えてもらいながら一緒に作った。
今夜のメニューは "親子丼"、"豆腐とワカメのみそ汁"、"冷奴"。
塩分とカロリーは低め、量的には病院食より多いと思う。
     
19時30分:
夕食の後、NHK BSプレミアム "日本百名山SP でっかい秋みつけた!"を見た。
槍ヶ岳、北八ヶ岳、火打山、双六岳、黒部五郎岳…。みんなみんな懐かしい!
(それぞれの山を、ボクが歩いた時の記録は北ア南ア中央ア八ヶ岳のページにもある。
UPしてないけれど火打山も、妙高-火打-焼山を縦走して笹ヶ峰牧場に下る時、
ルートを失いかけたことのある若い頃の懐かしい山だ。)

21時00分:
妻と一緒にディーサービス事業所のパンフレットを見ながら話し合った。

23時00分:
風呂に入った後ベッド(※)に入り眠りについた。
(※電動式の介護ベッド。
  1回目の手術が決まった時妻が購入してくれたのだ。こうなる日が来ることを予想して…。)

ホッとすると同時に、思いのほか忙しい一日だった。
明日からは、自分の意志による自分のためのリハビリを始めようと思う。
・安定してバランスよく歩けるようになりたい!
・野山を自由に歩きたい。可能なら3000m級は難しいにしても2000m級の山にも再びチャレンジしたい!

自分の意志(目標)を、高く・強く持ち続けたいと思う。

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